心の旅路

第1話

  .世にも不思議な現象―口から飛び出す外国の言葉


ところが、一年半位経った時に、自分の心の中に大きな変化が出て来たんですね。
今まで、考えてもみなかった事が起きてきた訳です。
人間というものは、転生を繰り返している、生まれ変わりをしている。
今、私達は日本にこうやって生まれ、皆さんは今、福岡県にいるけれども、実は、いろんな国に生まれ変わりしているんですね。
私は昭和四七年の五~六月頃からいろんな現象が出始めた訳ですよ。
しかし私は、それが何か分からなかったんですね。
高橋先生がお元気な頃に、講演の中で現象(人間の生まれ変わりや憑依霊の証明実験)をよくやっておられた。そのいろんな現象を見ていて、自分が今、そういういろんな現象に遭っていることは、これは只事ではない。何か悪い者が来て、私を迷わせようとしてるに違いない。実はそう思った訳ですよ。
或る夜、私はベットに寝ていたんですね。そうしたら、体全体がズーッと浮き上がって行く訳です。浮き上がるから大変ですよ。もうベッドに必死で掴まる。掴まっても上がって行くんですよ。「あれ、あれーどうしたのかな?」と、そんな事があったり、今度は寝たと思ったら、体がバラバラに分解した、空中分解ですね。
「あーっ!」
「どうしたの!」
と、女房は吃驚して言っているけれども、もう声も何も出ない。こっちはもうバラバラになったと思ってますからね。
で、暫くしてから、手でそーっと触ってみたんですね。足もちゃんとあるんですよ。「あー、あるぞあるぞ!」なんて……。(笑)「いやー、これは死んだんじゃなくて良かった」と、こういう事があった訳ですね。
「何故、こんな事がこう起きるのかな?」と思った訳ですよ。これも分からない。
その当時私は、高橋先生に最初にお会いしただけで、後は遠くから話を聴いて、終わったら帰っていただけなんですね。お話を聴いている沢山の人の中の一人ですから、そんな事を聞く訳にいかないですね。実は、私は黙っていた訳ですよ。
その頃は、大体午前一時頃から二時か三時頃まで、毎晩反省をしていたんですよ。
やるなら徹底的にやってやると、いろんな方法でやっていたんですね。そうしたら、その中でそういうのが起きた訳ですけれどもね。
或る日、部屋を暗くして、心を静か~にしていった時だったんですね。もう辺りはみんな寝静まっていて、たまーに犬の鳴き声がするぐらいですよ。
そうしたら突然、暗闇の中が急に物凄い明かりになってきたんですよ。私はバーッと眼を開けた。ところが、眼を開けても明るいんですよ。「あれ、一体、これはどうした事だろう?」と思った。
ところが、その明かりの中には、物が全然ない訳ですよ。「おかしいなぁ?」と思った。
それから、私は反省をする時に、机の上に時計を置いておくんですね。これは、一時間なら一時間したら分かるようにと、置いていたんですね。しかし、やってるうちに時計は段々いらなくなってきたんですけどね。
そして、また次の日に反省をやった。そのうち、またパッと明るくなった。ところが、その時計の音が全然しないんです。
しかし、部屋は静かですから、何時も時計はカチカチ音がしてますよね。
「あれぇ? 今まで時計の音がしていたけれど、明るくなったら時計の音がしない」
と、そういう事も分かってきたんですね。
これは益々、何かあるんじゃないかなと、実は思っていた訳です。
そういう中で或る日、子供の施設にお伺いした時に、そこの園長が、
「実は、朽木さんのような事を言ってる人が、地域の偉い人にいるんですよ。良かったらお会いになってみられませんか」
と仰ってくださって、お会いする事になったんですね。
その人は、地域でも相当な力を持っていて、政治的にも力がある人だったんですね。
その園長さんに頼まれて一緒に行ったんです。七三歳の人で、地域の人達からみても偉い人なんですね。
しかし、私はそこの住民でもないし、別に損得は無い訳ですから、会っても普通に話をしていたんですね。人間というものは、損得があると構えてしまいますからね。
その方の話をズーッと聴いていったら、振り出しは教員なんですね。師範学校(昔の教員養成学校)を出て先生になった。それが段々と市に入り、県に入り、段々と政治的なものに入って来た人ですね。
そして、よーく話を聴いていったら、何やら朝早く起きて集まりをする会がいろいろあるそうですが、そういう処の人だったんですね。私はその人の話を一応最後まで聴いてから、
「大変申し訳御座いませんけれども、あなたの仰っている事は、私の話と違うし、また、正しい事じゃありませんよ」
と、言ってしまったんですよ。
そうしたらその人が、ウワーッ!と顔を真っ赤にして怒り出した訳ですよ。(笑)
「あっ、こりゃ言い過ぎたな」と思ったんですけど、もう取り返しがつかない。物凄い声を出して怒る訳ですよ。
一緒に行った園長さんも、そこの奥さんも、オロオロしている訳ですよ。
しかし、私は別にどうという事はないし、別に損得が無い訳ですから、「あ、怒ったぞ」って思っただけですね。
実はその時、私は、笑っちゃったんですよ。(笑)あんまり怒るんで、その顔を見ていたら、可笑しくなって笑ってしまったんですね。
そうしたらね、その人、怒るの止めた訳です。
「よーし、それなら、あんたの話を聴こう」
と、それからは、その方と、うんと仲良くなってしまって、会うと、「いよーっ」なんて言って話をするようになったんですけどね。(笑)
「あの時あなたね、よく摘まみ出されなかったわねぇ」
と、後で奥さんに言われた訳ですよ。大概そうなると、みんな摘まみ出されたそうです。何か縁があったんですね。
その人は、応接間の壁に、 〝勲五等〟 なんていう……その何ですか、看板か表彰状みたいなのを掲げている人なんですよ。(笑)やっぱり偉いですよねぇ、自分でも偉いと思っている訳ですから――。(笑)
何処の馬の骨か分からないの来て、いろんな事を言われたんですから怒る筈ですよ。
後から考えたら、「申し訳無かったなぁ」と思ったんですけどね。
その事があって、一日置いて次の日に、心を静かにして反省禅定をしていた時の事です。その時の事を反省したんですね、「私は、あの人より若いのに、大変申し訳無い事をした」と、いろ考えていた訳です。
そうしたら突然、私の体が動き始めたんですよ。ジーッと座って自分の事を反省していたのに、何かこう最初にフラーッとした訳です。「あれぇ……何だかおかしいなぁ」と思った訳です。
そのうちに、段々と動き始めて、体がグルグル……回るんですね。「あっ、いけない」と思って、止めようと思っても止められない訳ですよ。
そのうちに、前に倒れ、机にドタンとぶつかる。今度は後ろに引っ繰り返る。横に倒れ、斜めに倒れる。それが、何もしなくても起き上がる訳ですよ。手も着かないで自動的に起き上がる。もう達磨さんみたいなもんですよ。(笑)――さぁ、驚いてしまったんですね。
「あれぇ、大変だ、こんな事あるのかな」と、もう私は大変だと思っているだけなんですよ。
で、そのうちに、この顔が物凄いバイブレーションを起こしてきたんですね。さぁ、またこれも大変ですね。身体が揺れた上に、今度は顔までバイブレーション起こしたら大変ですよ。
「もう何とかならないかなー」と、思ってもならないですね。
そうしたら次の瞬間、私の口からブワーッ!と言葉が出て来た訳ですよ。
それは、自分の心の中から、私のこの五官を通して、声帯を通して、日本語ではな
い言葉がボン出て来た訳ですよ。それが中国語なんですね。
私は戦時中に中国に行って、少しは中国語は知ってるけれども、そんなベラベラ喋れないですね。ところがドンドン言葉が出て来る訳ですよ。さぁ大変ですね……。
私が毎晩のように反省をやっていた処は、家の裏にある物置だったんですね。実は、家が狭いので、物置の中を片付けて、自分で改造して、そこでやっていた訳です。
そうしたら、家の方から女房が、
「あら、おとうさん……何か、随分大きな声出してるわよ。何だか中国語の練習してるみたいよ」
って言って、家中で話してるのが聴こえる訳ですよ。
こっちはそれどころじゃない。(笑)「大変だー、何とかならないか」と必死になってやってるのにね……。
で、私はその大変だの中で、実はその時に感じた事があるんですが、自分は座っているんですが、その自分を(心の眼で)観ている自分に気が付いた訳ですね。自分から離れた自分が、観たり聴いたりしていることが分かった訳ですよ。
その観ている自分が、本当の自分(魂の自分)だということですよ。
おかしな話ですね、これは――。自分だと思っている、自分の姿が目の前に観えたり、声が聴こえてくるんですね。「これは大変だ、どうにかしなくては……」と思っているのが、離れて観ている自分なんですよ。
そして「しっかりするんだよ、しっかりするんだよ」と自分に言ってる訳です。
それなのに、ひとっつもしっかりしない訳ですよ、こんなになって……。(笑)
大分時間が経ってから、「これはどうにかしなければいけない、どうしたら良いか?よし、下っ腹に力を入れてみよう」と考えた。エイッ!と力を入れた訳です。
そうしたら、ピタッと止まったんですね。
さぁ、それからが心配で、もうそれこそ寝られない訳ですよ。「何だろうな、何か来たんじゃないかな。よく反省してみよう」と、反省してみたんですね。
「これは、魔・悪魔が来たのではないか――。わたしが高橋先生の話を聴いて、一所懸命にやっているのをダメにさせようとやっているんじゃないか」と思った訳です。
「これはきっと、一昨日の偉い人に天狗か何かが憑いていて、その夜、偉い人が寝てから、その天狗が私の処に来たんじゃないかな」なんて思って(笑)、さぁ、穏やかではないんですよ。「さぁー、いらっしゃい!」とも言えないですね、全然分からないんですから、これは――。(笑)「大変だ、大変だ……」と、それだけなんです。
それからが、苦しんだ苦しんだ、苦しんだんですねぇ……。



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