第二話 『心と肉体と経済と』関連の参考講話 短編集
4、節度と節操――フリーターの行く末
(184ページ『末法の世』参照)
私は何処へ行っても若い人に言うんです、
「仕事をするんですよ。どんな仕事でも良いですよ」
と言います。
今、若い人達はどうですか――。今、仕事をしない人が多いですね。
会社に入っても、直ぐ辞める。長続きがしない、定職に就かない。自分のしたい仕事が無いという事ですね。
私達は、何でもやったら絶対出来ると思うんですよ。
そうすると今度は、フリーアルバイター(フリーター)ですって――。自分がやりたい時だけアルバイトをする。今多くなりましたね、そういう人が――。
そういう人の心の中をズーッと観ていくと、その先はホームレスなんですよ。これから先、そういう人が多くなっていきますよ。
そして、みんな面白可笑しい方へと行ってしまう。歌やロックで人が集まると、歌う方も聴く方もピョンピョン飛び上がったり、ワーワーやってますよね。悪いとは言わないけれども、そういうふうに、みんなのめり込んでしまう。節度がなくなってしまう。今の世の中は節度が無い。私はこの前若い人に、
「あなた、節度がないよ」
と言ったら、変な顔をしていましたけれども、
「あなた、節度って分かる?」
「いいえ、分かりません」
「あなた、大学出たんでしょう?」
「はい、でも大学では習いませんでした」(笑)
「習わなければ分からないの? あなた、大学行かなければよかったのに……勿体無い事したね」
って言いましたけどね。親が教えないですよ、親が――。これは、親の役目ですよ。学校でなんか教えませんよ。昔は修身(今でいう道徳)の時間に教わりましたよ。
「じゃあ、節操って分かる?」
「はあ……?」(笑)
――ガックリきましたよね。「えーい、話やーめた」になっちゃう。(笑)
節度も節操も知らないんじゃ、みんなこれをやっていますね。恐いですねえ……。
そういう人達が、大人になって、子供が出来ていくんですよ。
これは分かりますよね、後どういう世の中になるか――。
何処かでブレーキを掛けられますね、これは……。ブレーキが掛かった時、みんなどうするんですか? ――そういう事ですね。
急ブレーキを掛けられたら、真面でいられなくなりますよ。車を運転してみると、よく分かりますよね。急ブレーキ掛けてご覧なさい、車はバーッと回転してしまうから――。それと何等変わりないですね。
我々人間は、もっと自分自身の事をよーく考えなくてはいけない。それがもう来ているのに、みんな考えないですね。
1992年4月