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第1話
2007.6.5更新
21,困った時の神頼み――他力の心と信仰
高橋先生の話というのは、先程申し上げたように、「こうなりたい」、「あゝなりたい」と、そういう事じゃないですね。
ところが、この文明の世の中にしても、コンピューターをパチャパチャやっていて、「おじさん古いよ」なんて僕等に言う若い人達、大学を受験する高校生にしろ、合格する為に、絵馬を買う訳ですよ。――そうでしょう?
しかも、浪人している人は、去年は三千円のを買って駄目だったから、今度は五千円のを買う人がいる。(笑)それで合格したら大変ですよ。
そういう子供達が、今度は学校を出て、文明の社会に入って来るんですよ。おかしいと思うんですけどもねぇ……。みんな思わないんですね、それが――。
試験の時期になったら、絵馬の売れること売れること――。行って見て来てご覧なさい、その辺にもあるでしょう。あれよあれよと言ってるうちに売れるから――。
もう神任せか、人任せだか分からないような事をやってる訳ですよ。
そして、それやると合格出来ると思うんだから、またこれが困りますよねぇ。みんな勉強もしないで、そういうものを買う訳でしょう。
この頃は、学校より塾が大事だそうですよ。――阿呆な事言っちゃいけない。これはしょうがないですねぇ。まぁ、人生い--ろんなものがあるけれども、私は若い人達だけでもね、本当の事が分かって貰いたいと思いますよ。
まぁ、年取った人はね……私も年寄りだけれども、先がもう無い訳ですよ。(笑)ですから、これはもう一所懸命に生きる外に無いですけれどもね。
これからの人は、本当の事を分かって、人が遊んでいても、自分は一所懸命やれるような若い人になっていって貰いたいですね。
そうしないと、私達の住んでいる処が住めなくなるんですよ、本当の事を言うとね。
こういう事は、幾ら拝んでも、何をしても駄目なんですよ。
これはこの前、私の処に新興宗教のT教の、もうカチンカチンの信者の人が相談にみえたんですね。何しにいらしたんでしょう。――その人は、顔面神経痛なんですよ。
その奥さんが仰るには、
「私は、何故こんな病気になったんでしょうか……」
「奥さん、あなたね、T教でしょう」
「はいそうです」
「T教の神さんは、治してはくれないんですか? 何故そうなったのか、教えてくれないのですか?」
「はぁ、教えてもくれませんし、治してもくれません」
と、それで私の処に聞きに来たんですね。ですから、
「あなたはね、家庭の中で、嫁姑の関係で、心の中に大変な憎しみを持ってね、生活をしているから、そうなってるんですよ。あなたの顔面神経痛はそれが原因ですよ。そういう心を直せば、直ぐ治りますよ」
と言ったんですけど、これは、病院に行っても分かりませんよ。心=精神的なもので顔面神経痛になっている訳ですからね。恐ろしいですねぇ……。
これは、T教にしても、他の組織や団体に入っても治らないですよ。拝んでこうやって、手を翳したりしても治りませんよ。ペンダントをぶら下げても治りませんね。
そしてそういう処に行って、ペンダント代を、まぁ、何万円か、神様に差し出す訳ですね。これが神さんなんですね。こんな小さな神さんがあったら大変ですよ。
日本に今、宗教法人が三〇万もあるそうですよ。神さんが、三〇万人もそんなにいる訳が無い。神様は一人しかいないですね。その人に、
「あなた、T教を辞めますか?」
「いやぁ、辞められません」
辞められませんって――。(笑)そういう事になってしまうんですね。
私はその話を聴いた時にね、この方には、それ以上は言わなかったけれども、「今の宗教というのは怖いなぁ」って思ったんですねぇ。辞められないんですよ。
ですから私達は、物事に夢中になってはいけない。
一、今、自分がやってる事は、一体どういう事かな?
一、これをやったら家庭がどうなるのかな?
一、身体は大丈夫かな?
一、財布の中身は大丈夫かな?
と、そのくらいの事は考えなければ、大変な事になってしまうんですね。しかしこういう事は、四六時中ある訳ですよ。
この前も私は一寸話したと思いますけどもね、壺を六〇〇万円も出して買う人いる訳ですよ。その人、T会という新興宗教に入ったんですが、そこで壷を買わされる訳ですね、ご利益があると言われて――。
その壷を買う為に、田圃を売らなくてはいけない人もいるんですよ。
「あなた、そんな事しちゃダメですよ」って私は言いますよね。私は心配ですよね、「話したけれども、あの人、止めたかなぁ」と思っていたんですね。
そして次の月に、そちらの会場に話をしに行った。その人の知り合いの人に、
「あの人、どうなりました?」
「いや、実は今日、朽木先生がいらっしゃるというので、その壺を勧めた人を連れて、話を聴きに来る事になってます」
と、仰ったんですね。で、暫くしたらその人から電話が掛かってきた、
「今日は先生の処にお伺いしようと思ってたんですが、町のお祭りでカラオケ大会があって、私、そのカラオケ大会に出なくてはいけなくなったもんですから、今回はそちらに参りますので。次回に先生の話を聴かせてください」
と、言われた。私は、「話を聴いてくれ」って頼んだ訳じゃないですからね。――一寸、何だか当たり前のような話ですけど、おかしいですね。
この方は、一反歩の田圃(約三〇〇坪)と私の話を交換する訳です。――そうですね。話を聴いて相談があれば、その勧めた人に言って、その人は止めるかもしれない。
ところが、それよりカラオケの方が大事なんですよ、人間は――。(笑)カラオケが大事なんですよね。自分が田圃を売って、その六〇〇万円を注ぎ込まないといけないのと、カラオケと私の話と、何だかごっちゃにしてるんですよ。恐ろしいですね。
カラオケってそんなにいゝんですかね。私、カラオケやったこと無いから……楽しいんだろねぇ、あれは――。(笑)
おそらく、あの人は、一反歩の田圃を売ったんじゃないでしょうか。
まぁ、その話を聞いて私は、がっかりする訳にもいかないけれど、本当はがっかりしましたよね。折角この人は、こういう話を聴いたのにね……。
その人の旦那っていう人は、おとなしい人で、その奥さんが強くてガーガー……言って、旦那はもう奥さんの言う通りになってしまう。
ところが、その田圃がある処が、段々段々宅地になってきているから、高く売れる訳ですよ。しかし田圃を幾ら持っていても、売ってしまったら無くなってしまう。
また、そういう人を騙して、お金を取る人がいるんですね。恐ろしいですよ……。
ここの宗教団体は、キリストの名に於て、壷を買わせる訳ですよ。
ねぇ……本当にイエス様が聴いたら、何て仰るでしょうか。恐ろしいですね。
――それが、私達の世の中なんですよ。
まぁ、皆さんはそういう事はしていないでしょうから、分からないかもしれないけれど、私も本当はそんな事は分からないんですけどね、いろんな人が来るんですね。
私は、組織も何もありませんから、いろんな人が来るんですよ。そのお蔭で私はいろんな勉強になる。有り難いですよね。
――ここで一寸、休憩だそうです――(15分間中断)
――次回に続く
次回『22、ある僧侶の相談――お墓への執着』の更新予定は6月の第2週目です。
どうぞお楽しみに。
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