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第1話
2007.6.27更新
24、植物の精――人間の心を知っている草木や花達
これも、以前に話した事があると思いますが、私は、前によく山に行っていた。その時には、山の中にある家を借りて、一人で反省をしに行ったんですけれどもね。
その場所は、山の裾から少し登っていった山間に、谷川が流れている処があるんです。ザーッと物凄い音がして、とても綺麗な水なんですよ。そこに行ったんですね。
そして、その谷川に橋が架かっていて、その袂に大きな木があるんです。
「あっ、こんな処に木があって大丈夫かな」と思いながら、橋を渡ったんですよ。
そして、山の方に行こうと歩き始めたんですね。そうしたら、何かが私を呼ぶんですよね。誰もいないのに、声が聴こえる。しかも、その呼んでる人は女の人なんですよ。「もうけたっ」とは思わなかったですけどもね(笑)、女の人が呼ぶ訳ですよ。見ても誰もいないんですよ。何だか気持ち悪くなって……。
辺りはシーンとしていて、土の匂いがして、たまに鳥が飛んでいるぐらいで、後は蝉がジージー鳴いているだけなんですよ。
不思議に思いながら、そしてまた行こうとしたら、また呼ぶんですよ。今度は、ズーッとその辺りをよーく観てみた。そうしたら、その橋の袂の木が、今、花で真っ盛りなんですよ、物凄く綺麗な花が咲いているんですね。実は、その木の精が呼んでいた訳なんですよ。
「えっ、花が喋るのは知ってたけど、木も喋るんだ」――同じですよね、そんなもの……。(笑)私は、吃驚しましたよねぇ……。
「これは、一体どうなったんだろう? 私、変になったのかな」と思いましたよ。
それで、私に挨拶をしている訳ですよ。挨拶したから、私も挨拶しますよね。(笑)
そうして、話をするんですね。それがきちんと聴こえてくる訳ですよ。しかも、それは人間の事を物凄く批判をしている言葉なんですね。丁寧な言葉なんですけれど、人間を批判している訳ですよ。そして、
「あなた、一体、何しに来たんですか?」
と、こういう事なんですね。
ところが、私がこれからやろうとしている事は、もう分かっているんですよ、次元が違うんですから――。
「あなた、こういう事でいらっしゃったけれども、本当に大変ですね。あなた、自分の事、よく知ろうと思って来ましたね」
と、ちゃんと知っているんですよ。それから、いろんな話をしたんですね。最後に、
「あなた達は、何処にでも行ける。本当に羨ましいですね。
わたし達はここから動けないんですよ。
しかし動けなくても、自然の中には、いろんなものがあって、それを調和する為に、わたし達はわたし達なりに一所懸命、心の浄化を図っているんですよ。
あなた達人間はね、しっかりしなくてはいけないんじゃないでしょうか。
そうしてくれないと、わたし達は非常に困るんですよ」
――いやもう、言われましたねぇ……。
山の中の一本の木ですから、何も関係無いように思いますね。地球の中の、たった一本の木ですから、あまりピンとこないですね。
しかし、その木は自然のものを代表して言っているんじゃないでしょうか。
その時の事を、またズーッと考えていると、それこそメルヘンっていうの? 童話の世界に入ったみたいですね。その中で私も話してる訳です。
それから私は、木が喋るという事が分かった訳ですよ。
「ところで、木が日本語で喋ってくれるんですか?」と、こうなってきますよね。(笑)――そうじゃないんですよ。木が喋っていても、これは心の中の事ですからね、ちゃんと途中で(この世的に言うと)通訳する機械みたいなものがあって、分かる訳ですよ。心の世界というのは素晴らしいんですよ。
それで、自分がその山を引き払う時に、気になってもう一回行ってみたんですね。そうしたら、また話をするんですね、
「都会に帰ったら頑張ってくださいよ。さようなら……」
って手を振るんですね。私はそれを見た時に、本当に自分も、こちらから自然にサヨウナラと手を振ってましたね。
その精は、人間のような格好をしているんですよ。それは何故かと言いますと、彼等もまた、人間になりたいものを持っているんですね……。
これは、そこだけ次元が変わってしまったんでしょうね、おそらくこれは――。
こんな事を人に言っても、誰も本気にしてくれませんね。くれませんよ、「そうですね」なんて言う人はいませんよ。これは、私の世界で起きた事ですね。
普通に見たら、木にただ花が咲いているだけでしょう。それが喋って人間のような格好をして出て来るんです。これは何だか、子供達に話を聴かせたいくらいですね。
やはりね、そういうものが、私達の周囲には沢山あるということなんですよ。ただ、分かるか、分からないかだけなんです。
これは何故、私がそうなったのかは、さっぱり分からないですよ。
私達が子供の頃見る、あのイソップ物語やアンデルセンの童話にしても、あれは大人が何回も読んでみた方が良いんですよ。素晴らしい事が書いてありますよ。本当は、あれが私達の本当の世界でしょうね。
そうすると、やたらにポキンなんて出来なくなってしまう。ですから私は、庭の木の枝を切る時には、
「切らないと、根元の方がダメになっちゃうから、先っちょの方よ、ご免なさいね」
と、そう言って切る。草一つ抜くのでも、本当はね、「ご免なさい」と、それくらいの気持ちがなければいけないですね。
そんな事をやっていると、今度は蚊が飛んで来ても、蚊も叩けない。新聞紙か何か持ってきて、「外へ出てけー」ってやってしまいますよね。(笑)
人間というのは、そうなるんじゃないでしょうか。どんなに小さな生き物でもそうですね、みんな人間の為になっている訳ですよ。必要があるから何でもいるんですよ。必要で無いものはいないんですよ。
――次回に続く
次回『25、身を滅ぼす文明――自分の身の回りの知らない事』の小見出しページ公開予定は、6月の第5週目です。どうぞお楽しみに。
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