心の旅路

 

第三話 『日本人』関連の参考講話 短編集

 

1、日本人の起源と神話

(240ページ『日本民族の起源』参照)

 

先ず私達の日本の歴史――日本流に言うと約2600年、それが歴史なんです。

これは以前、電車に乗っていた時に出て来たんですけど、私がまだ若い頃(第二次世界大戦中)に覚えたものなんです。

「昔、神武天皇が大伴・物部の兵どもを率い、中国の服わぬ者ども(服従しない人達)を、討ち平らげ給え、高御座に即かせられ天下領ろし召し給ひし(国を治める)より、二千五百有余年を経た……」

と、習ったんです。その後がズーッと続くのですが、これは、兵隊さんの時の、軍人勅諭(明治天皇が、軍人に下した、礼儀・武勇・忠節・信義・質素を説いた教え)なんです。

若い時の覚えというものは凄いもんですね。今「これを覚えろ」と言われても、覚えられないです。

これは、昔から何処の国でも、何処の民族の中でも、神話というものがあります。

日本でも古事記とか、いろんなものがあります。

日本の神話であっても、最初にスサノオの尊が国を造ったとは言っていませんね。

大国主命の国造りの神話では、縄を何処かに掛けて引っ張ったとか言ってますけど、そうではなくて、大国主命という人は、実は日本人じゃないんですよ。日本海側から舟で流れ着いて、そこで一つの国を造った人なんです。

ところがその頃、大和朝廷があって、大国主命はやられそうになったものですから、先に旨い事を言って、大和朝廷と手を握ってしまった訳です。そうしたら大和朝廷では、

「そうか、それじゃ一緒にやろう。あなたは大変な功労者だ。あなたの住む処を造ってあげよう」

と造ったのが、今の出雲大社なんです。神様がいたのではなく、実際に人が住んでいた処なんですよ。それを後の人が神社にして祀って神話にしてしまったんです。

ギリシャ神話のゼウスの話にしてもそうですね。4000年近くも前のものです。その頃に神様はそんな事をしていません。一万年前にも、人間はちゃんと生活している訳ですから、おかしな話ですね。

ギリシャ神話にしても日本神話にしても内容は同じです。人間である以上、みんな一緒なんです。

これは、其々の秩序を保つ為に、そういうものがあったのですね。

旧約聖書にはアダムとイブの話があります。アダムとイブは人間が誕生した時からの話で、あの二人から始まったのではないんですよ。イブとは、全ての母という意味です。

日本の神話にも、イザナギの尊とイザナミの尊が出て来て、二人で柱をグルグル回ったら、赤ん坊が出来たという話があります。これは、国を治めていくには、一つにまとめる必要があったから神話を造った訳です。民族を統一する為に造り出した。

そうしたら、この話とアダムとイブの話は、そっくりですね。

それから、日本の神話の中には、ヤマタノオロチがありますね。よくスサノオの尊のお芝居をやっていますよね。あれは一体何の事でしょうか? ――実はあれは、嵐が来て川が氾濫したのをヤマタノオロチ(八岐大蛇)にした。そして、田圃をイナダ姫(奇稲田姫)にした。

「川が氾濫したら、こういう事になってしまうから、穀物を大事にしましょう」と、護岸工事をして、統一をしていった訳です。

そういうふうに、神話というものを造っていった訳です。

日本人というのは、先ず中国大陸からの人、朝鮮半島からの人、そして南方民族、それから元々そこにいた土着の民族というのがいますよね。

日本は豊臣秀吉の頃から、朝鮮に征伐に行ったり、明治時代になってからは、中国とも戦争した訳ですが、実は、私達もそれらの国の血を引いたものなんですね。

こうしてみると、日本人というのは、一体何だろうと思ったら、混血なんです。いろんな国の人の寄り集まりなんですね。

それで、神武天皇の頃、その辺から大和朝廷が始まり、中大兄皇子が出て来て、どうだこうだになるんですが、この中大兄皇子という人――実は、この人も日本人ではないんですよ。

そして、先程の軍人勅諭の中にあった「討ち平らげ給え」なんて、平らげられたのは誰かと言うと、元々そこに住んでいた人達なんですよね。(笑)やられたのが、蝦夷とか熊襲の人ばっかりでしょう。あの人達が、元々からいた本当の日本人ですね。

考えてみたら、歴史というのは、いいころ加減ですよね。

それから、日本人の中には、北の方にアイヌ民族がいますよね。東北の方にもアイヌの人がいた訳です。

ところが、そのアイヌ民族と沖縄の人が変わらないんですね。そっくりなんです。

沖縄の方が私の話を聴きに来られるので、その人に聞いてみたんです、

「こんな事を言ったら失礼ですけどね、あなた達、自分達がアイヌの人達に似ていると思った事はないですか?」

「はい、あります」

と、仰ったんです。やはり、そういうふうに思っていたんですね。その人は、

「実は、私は旭川へ行って、アイヌの人に会ってきました」

と言うんです。えらい熱心な方です。

「どうでしたか?」

「私達と同じでした」

と仰ったんですね。

何かその辺になると、何処かで分かれて、何処かで一緒になって、グルグルやっている訳です。私は同じ民族じゃないかと思うんです。ただ北と南になっただけですね。

そうすると、純粋の日本人というのはいないですね、これは――。

私は、いろんな処から呼ばれて、あちこち話をしに行くのですが、地方をズーッと歩いていて、東北の人は骨格で分かるんです。九州の人も顔を見たら分かるんです。それだけ民族が違う訳です。

「骨格が違うって、どういうことかな?」と思ってもさっぱり分からない。その辺になると分からないんですけど、当然、韓国の人も全然違うでしょう。同じ眼の色をしていても違う訳です。中国の人も違いますね。この頃は、往き来が激しくなったから、どれがどれだか分からなくなったけれども、よーく見たら分かります。

今度は九州の人はというと……南方系の顔をした人が多いですよね。(笑)

それは何故かと言いますと、皆さんもご存知のように、高橋信次先生のビデオの話の中にある、卑弥呼の話とか、その時代の過去世を持った人達の話とか、そういう話がありますね。

卑弥呼という人は、元々は南方民族なんです。インドシナの方から舟でズーッと上がって来た訳です。そして、九州の博多の方に上陸して、有明海を望む処に拠点を置いたのですね。そこが先ず、卑弥呼の始まりなんです。

それで、神武天皇の時代からズーッと続いて、今の天皇陛下になった訳ですが、その前には天照大神がいた。

「天照大神とは、実は、卑弥呼の事なんですよ……」と言っても、何だか分かったような分からないような、それこそ、

「講釈師、見て来たような嘘を吐き」

になってしまいますけども……。(笑)

これは文献とか、そういうものは沢山あるんでしょうけれども、私はそういうものを見る処も知りませんから、心の中でズーッと追求し、掘り下げていったのです。――そうしたら、自分の心の中から出て来たものなんですね。

卑弥呼という人は、取り巻きの人が沢山いて、いろんな事が分かった人です。当然分かった人です。魂の段階から言ったら、上段階の偉い人なんですね。

ですから、それによって朝鮮とか中国とか付き合いをしていった訳です。

卑弥呼という人は、いろんな霊的な事が分かった人なんですね。それでみんなが、卑弥呼に国政・政治の事を聞いた訳です。そして大方の事をやっていった訳ですね。

ところが、この卑弥呼という人は、そういう事をしていたが為に、あまりに自分が自由にならずに、外にも出られずに終わられてしまったんですよ。

しかし、この卑弥呼という人も意識の世界(次元の違う心の世界)から言ったら、本当に偉い処の人なんですけども、一旦肉体を持ってしまうと、そういうものに流されて分からなくなってしまうんですね。そして、あの世に帰られてしまった。

それから2600年、その昔から、人間というものは「何か物でない処(次元の違う世界)が何かあるんじゃないだろうか」「そういう処に私達を導いてくれるものがあるんじゃないだろうか」と、誰でもみんな、そういう思いを持ってきたんじゃないでしょうか。――持ってますよね。

それは何故でしょうか? ――本当は、私達は肉体以外の処(心の世界)の住人ですから、そういうものが、みんな心にあるからなんですよ。

そのように、私達の歴史というものは、いろんなものを造り出して来た訳です。



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