第三話 『日本人』関連の参考講話 短編集
5、天国と地獄
(275ぺージ『行こう行こう彼の岸へ』参照)
以前、守護霊に連れて行かれた事があるんですが、大きな岩があって、この岩陰の隅の方にしゃがんでジーッとしている人がいるんですよ。何やってるんだろうと観ていたんですが、苔生した処に唯ジーッとしているだけ――。地獄界ですね。
まあ、この辺はまだ良い方ですよ。
どうしてそんな事をやっているのか、何故、自分がそんな処にいるのか――その人が分かるまで、気が付くまで、そこにいる。何年掛かるか分からないですよ。そうなってはどうにもならない。
「そんな事があるもんか」と言う人いるけれども、本当にあるんですね。
そういう(地獄の)人に、「こうですよ」と言っても、中々分からない。自分がこの世にいた時に造りだした、そういう意識で凝り固まっているからなんですよ。
自分が「あー、これはいけない。何故、私はこんな事をしていたのだろう」と気が付いた時に、その人の心の中にスーッと光が射して来る――そういう世界。
まあ、これは一つの例として、そういう処が本当にあるということです。
ですから、私達はそんな処に行くことはありませんよ。
私達は、明るい、本当に素晴らしい処から出て来たんですよ。
まあ、この世的に説明すると、若草色のような柔らかい芝生があって、今この会場のような明るさではなくて、物凄く明るい処ですね。
或る時、私がそういう処に肉体から抜け出して行って、スーッと自分の肉体に戻って来た。そうしたら守護霊が出て来て、
「あなたは今、素晴らしい処に行った。何か気が付きませんでしたか?」
「はい、芝生があって、とても明るく美しい処でした」
「そうではない。もっと大事な事である」
――さっぱり分からない。注意意識が足らない。一所懸命に考えた、
「あっ、そういえば、影が無かった」
「よく分かりましたね。それが分かればよろしい」
と、そう言われた。
あの世は影の無い世界、明るい世界。当然そうですね、心の中には影が無いですから――。
影があるのは、この世と地獄の世界だけなんですね。
みんな、こういう素晴らしい処から出て来たんですよ。ここ(影の無い世界)に帰れるようにならなければいけないですね。
1980年5月